2021年4月、私は突然膵臓がんと診断され、そのとき既にステージは4bだった。
治療法はなく、抗がん剤で進行を遅らせることしか手立てはなかった。昔と違って副作用は軽くなっていると聞いて臨んだ抗がん剤治療は地獄だった。
がんで死ぬより先に抗がん剤で死んでしまうと思ったほどだ。
医師やカウンセラー、そして夫と話し合い、私は緩和ケアへ進むことを決めた。そんな2021年、5月からの日記です。
という文章から始まる山本文緒さん(直木賞作家)の「闘病記」。
山本文緒さんはこの日記を「闘病記ではなく逃病記」と本書の中で書いていたけれど…。
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phaさんのブログでこの本が紹介されていて手に取ったのだけれど、phaさんと同じく一気に読んでしまった。
僕は過去に山本文緒さんの「あなたには帰る家がある」という小説を読んだことがあった。
山本文緒さんは2021年10月に膵臓がんで亡くなられた。58歳だった。
がんの宣告からわずか半年で亡くなられてしまった。
この本には、その2021年5月~2021年10月の日記が書かれている。
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この本を読んでいる途中で何度も泣いた。
余命がわずかなのに、文章は落ち着いていて淡々と日々を記している。(ように感じられる)
だけど、その中に「もう少し生きていたい」という気持ちがあふれるのを感じて涙が落ちてくる。
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この本を読んでいろいろな事を考えた。
自分のこと、妻のこと、両親のこと、「死」について、「生」について、終活について、これからどう生きていく?、本当の強さとは?、、、
僕は今年で56歳になる。決して他人事ではない。
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そして今日、もう一度読み直した。また一気に読んでしまった。
また、今、いろいろなことを考え直している。
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この日記はとても貴重だ。
絶対読んだ方がいいと思って、妻にも読んでもらった。
図書館で借りた本だけど、買い直して手元に置いておこうと思っている。
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