日本の男のストレスの正体 -安冨歩教授に聞く-という記事を、昨年2016年7月に書きました。
「男がなぜ苦しいのかって、それはひとえに、目に見えない暴力を受け続けているから。そこから逃げられないのは、こんなこともできない自分が悪いんだという『罪悪感』があるからです」。
“女性装の大学教授”として知られる東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授は、男性の心の苦しみについてこう語る。
この記事の続きを書くのをすっかり忘れていました。ゴメンなさい。
今更ですが書きますね。
昔よりも現代の日本社会の方が、「息苦しい」と感じている人が増えていると思いますよ。70~80年代には、息苦しいと感じていた人なんかほとんどいなかったと思います。もちろん、大変だったし、辛いこともあったでしょうが、「息苦しい」「生きづらい」とは違う感覚です。
なぜかというと、当時は、そんなことを言っている暇がなかったから。高度経済成長の波に乗って、企業がどんどん大きくなった。みんな仕事をすれば昇進するし、給料も増えた。ちゃんとリターンがあったんです。
ところが、今の日本社会にはリターンがありません。長く勤めても給料は上がりにくいし、昇進もしにくい。その前に、不景気で会社が潰れてしまうかもしれない。
(中略)
公務員、大企業で働く人たちの中にも役に立たないことをやっている人がいる。彼らは国の中心に近い場所にいますから、財政上の恩恵を多く受けています。意味のない仕事をやっても仕事はなくなりません。この部分が、国の借金によって埋められているんです。
そして、無意味な仕事をやっても、給料は入ってくるから、辞めることができない。無意味な仕事をやり続けて辛くなっても、「割り切ってできない自分が悪い」と罪悪感を覚えてしまう。人はそれを「息苦しい」と言うんです。
会社勤めをしていた時、僕も(どうして、こんなに息苦しいんだろう?)(なんで、こんな環境で仕事してるんだろう?)と感じていました。
そして、息苦しい理由はたくさんあるんだけど、それをうまく言語化することが難しい、とも感じていました。
上で引用した部分も、確かに息苦しく感じた理由の一つですが、僕にとって一番息苦しかった理由は、会社にいるほとんどの人に「余裕が無かった」ということだったと思います。
(挨拶をしない)
(笑わない(笑えない))
(会話がギスギスしている)
(苦しそうな人がいても見ぬフリをする)
(助けられない(助けてもらえない))
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息苦しく感じる理由はともかくとして、どうすれば息苦しさから抜け出せるのか?
安冨さんは、こんな策を提案してくれています。
よく「会社がイヤなら辞めればいい」という話を聞きますが、「自分自身として生きようと思うので、会社を辞めます」というのは、意味がありません。
もうこんな会社、苦しいから休んでやる、というのが正しいんですね。で、会社に「すみません、休みます」と言えば、「なぜだ!」と言われる。でも、「理由は関係ないから言いません。有給休暇を取ります!」と言って、電話をガチャ切りすればいいんです(笑)
有給休暇は労働基準法で定められていますから、別に理由なんか言う必要ありませんよね。ただ、職場はパニックになって、上司は怒り狂うかもしれません。すると、次の日も会社に行きたくなくなります。
ならば次の日も、「すみません、有給取らせてください!」と言って、電話を切っちゃえばいいんです。
会社に行こうかなと思うようになるまで、休みを取り続ければいい。有給を使い果たしても、休職制度があればそれを使えばいい。理屈をこねれば、結構長い期間休めます。
本当にうつ病になってしまったら、動くこともできなくなりますからね。そうなる前にサボった方が、自分にとっても、会社にとっても都合がいいんです。
斬新ですね。(^^)
でも、ある意味では、僕も同じ戦法を取っていたとも言えます。
僕の場合は、息苦しいから会社を辞めたい、と最初に考えました。
しかし、心を病んで正常な判断が出来ていないみたいだから まずは休めば?と当時の上司に勧めてもらって、会社を長いこと休んだのでした。
そして、会社を辞めても何とかやっていけそうな感じだったので、そのまま辞めました。
会社を辞めてもどうにもならない状態だったら、職場復帰していたかも知れません。
-長期で休んだとして、職場に戻ったときには、居心地が悪く感じてしまうかもしれませんが、それはもう覚悟の上で、ということでしょうか?-
嫌がらせはあるでしょうね。転勤や異動を強いられることもあるでしょう。その場合は、全面闘争です。「労働局や弁護士に相談します」って言えばいい。よく、「そんなことをしても、意味がないですよ」と言う人がいますけど、大事なことは「私に嫌がらせをすると、コストがかかりますよ」と示すことなんです。
その一方で、一つ大きなメリットもあるんです。
それは何かと言うと、いきなり理由も言わず有給を長めに取った時、自分は完全に「無縁者」になります。すると、誰が味方で、誰が敵かが、はっきり分かるんですよ。
-自分が一歩踏み出したときに、関係性が今までと変わらない人が、自分にとって必要な人だったと分かるんですね。-
そうです。一歩踏み出すということがすごく大事だと思うんです。そうすると、あら不思議、今まで繋がらなかった人たちとの繋がりもできるんです。繋がるべきではない人との関係が切れて、繋がるべき人との関係ができる。
それを信じて踏み出せば、社内の景色が一変するでしょうね。「なんだ、いい会社だったんじゃないか」と感じるかもしれません。東大だって、権力中枢バリバリですけど、非常に過ごしやすい、いい所に変わるわけです(笑)
自分にとって必要な人が分かる。
会社を辞めないで自分の行動で環境を変える、という道もあるのですね。
とても勇気が出るお話です。
僕の場合は、行動してみて得た大きなメリットがもう一つあって、それは、「自分にとって何が一番大事なことなのかがわかった」ということです。
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「息苦しさを感じているけど、ガマンして時が過ぎるのを待つ」というのも戦略の一つかも知れません。
でも、「息苦しさを抱えたまま過ぎていく時間」は、すごくもったいないと思います。
人生は長いようだけど、死んだフリしている時間を見過ごせるほどには長くありません。
安冨さんがおっしゃっているように、「一歩踏み出すということがすごく大事」だと僕も思います。
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「息苦しい」「罪悪感を感じる」などのストレス原因を感じたら、どうやってそれを癒すのか?
次回に続けます。
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