(「貧乏はお金持ち」紹介の続きです)
3回に分けて、橘玲さんの「貧乏はお金持ち」を紹介してきました。今回で最終回にします。
僕は、本を読んでいるときに「あ、ここは大事だなぁ」と思ったページの角を折るクセがあります。「貧乏はお金持ち」は、たぶん角折れが一番多い本だと思います。
世界はその姿を大きく変え、これまでの常識が通用しなくなってきている。未来は不確実になり、明日なにが起きるのか誰にもわからない。そんな世界で生き残るには、常に複数の選択肢を確保しておくことが必要になる。
サラリーマンは、すべてのリスクを会社という一点に集中させている。それに対してフリーエージェントは、収入源を複数にしてリスクを分散している。どちらが有利かはケース・バイ・ケースだが、不確実性の時代には分散型の収益モデルのほうが耐性は高そうだ。もちろんこの戦略は、副業などを使えばサラリーマンでも利用できる。
強いストレスを加えられると多量のストレスホルモンが脳に流れ込み、神経細胞(ニューロン)の働きが抑制され、抑うつ状態や肥満、食欲不振などが引き起こされる。だが最新の大脳生理学の知見によれば、実験の際、ストレスが加えられることと、自分の意志で中断できることを伝えておけば、血中のストレスホルモンはほとんど増えないという。予測と回避ができれば、どのような過酷な環境でもひとは生きていけるのだ。
これは逆にいえば、出口のない状況に置かれたとき、ひとは耐え難いストレスにさらされる、ということだ。ささいな出来事で精神が崩壊するのは、どれほどあがいてもそこから抜け出す方途が見つけられないからだ。あまりにも強く会社に依存し、それ以外のオプションを持っていないと、倒産やリストラでたちまち経済的にも精神的にも追い詰められてしまう。日本人の自殺率が先進国の中で際立って高いのは、会社以外に寄る辺のないことの裏返しだろう。サラリーマンはいつのまにか、“ハイリスク・ローリターン”の生き方になってしまった。
新たな選択肢をつくる効果的な方法のひとつが、法的な人格を獲得することである。経済的なストレスを法人に負わせてしまえば、それを盾に個人の人格を守ることができる。本書では、そのための具体的な方法を提案している。
マイクロ法人をつくれば、ひとはビンボーになる。そしてそれが、お金持ちへの第一歩だ。そのうえ“雇われない生き方”を選択すれば、クビになることもない。
ひとは生き延びるためなら、法の許す範囲でどんなことをしてもいい。これが、自由な社会の根源的なルールだ。もしあなたが一人の企業家としてこの理不尽な世界を生き抜いていこうと決めたならば、マイクロ法人の思想と技術がきっと役に立つにちがいない。
このブログを始めたばかりの頃に、こんな記事を書きました。
『「自由」と「うれしい」が無くなっていく仕事に未来はあるのかな?』
「もう会社の仕事はイヤだ」「会社では働きたくない」「会社では生きづらい」と、考えています。
なぜかと言えば、就職したときと同じく、「自由」を奪われているからだと思います。「生きていくためのお金をもらって仕事をしているのだから、ある程度の自由が無くなるのは仕方が無いのかもしれない。
でも、最近の自由の無さは異常なんじゃないの?」「自由」とは、言い換えれば「選択肢があること」だと思います。
会社員・サラリーマンでいることがイヤなのは、選択肢が無くなるからであり、
今、僕が生きづらいと思っているのは、選択肢が無くなって今の会社の仕事にしがみつくしかない、
と考え始めているからだと思うのです。
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逃げたいけど、逃げ方がわからない
「自由」になりたいけど、どうすれば自由になれるのかわからない
「この本を読めば答えがわかります」とまでは言わないけど、ヒントになることがあります。
「フィナンシャルリテラシー」(知識)は、自分と家族を守る防具にもなるし、自分と家族を食わせていくための武器にもなります。「お金と世の中の関係」がわかってくれば、少なくとも「失わなくて済むはずのお金」を守ることができると思います。
読み物としても面白い本です。僕のブログを読んでくれるくらいの「斜め目線」を持っている方なら、読んで後悔はしないと思います。
3回もかけたのに、「まえがき」しか紹介できませんでしたが(^^;)、この本の内容は、これからの記事に何度も登場すると思います。
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最後に「会社を辞めて自由になりたい人」に「3冊の橘玲本」をお奨めしておきます。
「なんでこんなクソみたいな状況になってしまったのか?どっちに行けばいいんだろう?」
→(日本人)
「こんなクソみたいな状況を抜け出したい。自分は「何を」すればいいんだろう?」
→残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
「こんなクソみたいな状況を抜け出したい。やりたいことを「どういう手段で」やればいいのだろう?」
→貧乏はお金持ち
コメント
橘玲氏は「知的幸福の技術 自由な人生のための40の物語」でも
「複数の選択肢を選ぶ自由を手放さないことだ。私が言いたいことはこれだけだ」と書かれていますね。
自由とは、選択肢があるということ。
逆に言えば、選択肢のない人間には自由がない。
↑については、下記のブログの記事を読んで、強烈に思い知らされました。
搾取されないためには選択肢を増やすしかない 愛の日記 @ ボストン
http://yokichi.com/2010/12/post-291.html
選択肢を得るために努力すること。
これがもっとも大切なことだと思い知らされました。
見知らぬ男さん、コメントありがとうございます。
リンクの記事読みました。
> 選択肢は、得ようとしなければ得られない
わかっていそうでわかっていないことですね。ありがとうございます。
こないだ図書館で橘さんの「日本人と言うリスク」を借りていました。
忘れていたので、さっさと読みます。
橘さんの本はわりと最近読み始めたんですが、この人の主張は自分と似ているところがあって結構好きです。
招き猫の右手さん、コメントありがとうございます。
「日本人と言うリスク」という本は読んでいなかったな。。。僕も借りてみます。
正吉さん
おはようございます。
いい本をご紹介していただきました。
すでに退職した私ですが、共感するところが多そうな本ですね。
図書館でたまたま予約できましたので、借りてきて読んでみます。
また私なりに共感した部分などを記事にさせていただきますね。
ではでは
freeflyfisherさん、コメントありがとうございます。
特に商売をしない予定でも、会社(法人)を作ってしまえばいろいろと有利なことが多いようです。
僕もまだ勉強しているだけで実践はしていませんが、まずは知識を得ておくのが良いかと思います。
正吉さん、こんにちは!
少々出遅れ感満載ですが・・・
貧乏はお金持ち・・・
貧乏お父さん・・・
ようやく、読み始めました。
どちらも、まだ読み終えてはいないのですが、
どちらも、自分の無知を痛感させられております。
白馬47さん、コメントありがとうございます。
おぉ。読んでくださってるんですね。「貧乏はお金持ち」を読んでると、すぐに会社辞めたくなりますよね。危険と言えば危険な本なのかも。