橘さん自身もこの本の中で書いていますが、この「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」には、
「それを言っちゃあ おしまいですよ」
という身もふたもない話がたくさん出てきます。
「自分は変えられない」
「知能の70%は遺伝で決まる」
「子供の成長に親は必要ない」
「自己啓発は『やればできる』というが、行動遺伝学は『やってもできない』という」
「ぼくたちはもう、あの懐かしい三丁目の夕日(昭和三十年代的安心社会)を見ることはない」
「ぼくたちの不幸はひとがヒトであるということにあらかじめ組み込まれている」
この本は264ページなのだけど、上記のような「身もふたもない話」が約200ページくらい書かれています。
それらの身もふたもない話は、本書のテーマである「どうすれば生き延びられるか」につながる大事な前フリです。
でも、このなが~い前フリが退屈かというと、決してそんなことはありません。
直視しなければならない「身もふたもない不都合な真実」を、
社会進化論、社会心理学、進化心理学、教育心理学、発達心理学、行動遺伝学、動物学、経済学・・などの多岐にわたる書籍や実験結果をもとに証明してくれます。
くれますのですが、こういった内容は、僕みたいに専門用語が並ぶ難解な本を読むと「5分で眠くなるような人間」にはとても耐えられません。
そんな僕のために(?)橘さんは、「勝間和代×香山リカ論争」「ドラえもん」「ヘビメタバンドの『アンヴィル』」「伊坂幸太郎の『重力ピエロ』」「20世紀少年」「木更津キャッツアイ」などのワードを引き合いに出して、飽きのこないわかりやすい説明をしてくれます。
長すぎる導入部分ではありますが、とても面白いです。読み物として面白いです。
「あ、そういうことだったんだな」と思っちゃう部分がたくさんあると思います。
例えば、僕は小さい子供をあやそうとすると、いつもものすごく泣かれるんです。それがどうしてなのかずっとわかりませんでした。
また、どうして初恋の人と結婚する人が少ないのかな?ということも疑問でした。
そんな進化心理学の知識を得ることもできるはずです。
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