僕たちは「利益」のために限界まで働かされる

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北欧の国フィンランドが「お母さんにやさしい国ランキング」で1位に選ばれたそうです。
フィンランドに8年住んだ日本人ワーキングマザーのレポートを読みました。

「海外育児体験、フィンランド人の夏は1カ月森で過ごす」

ヘルシンキでの生活で最初に驚いたことは、フィンランド人の働き方です。

基本的に所員は8時間勤務。本当に8時間で、残業はほとんどありません。

日本でも建築設計の仕事をしていた私には、当時単身だったこともあるのでしょうが、深夜までの勤務はごく自然のものでした。特に小さな設計事務所の長時間勤務は、自分の経験からも、さらに他事務所の話を聞いてもひどい状態でした。

ヘルシンキで生活を始めて、「ああ、この仕事を続けていてもプライベートな時間を十分に持てるのだ」と不思議な気持ちになったことは忘れられません。結果的に8年も滞在することになったのは、最初のこの驚きが一番の要因であったかもしれません。

では、なぜ8時間で仕事が終わるのか、日本人にはとても不思議なことかもしれませんね。ですが、身を置いてみると何も特別なからくりは無いのです。

ただ、仕事相手も午後5時、6時には帰ってしまうことが多く、ましてや子育て中であったら午後4時には帰ってしまうこともあるため、仕事を合理的にこなしていきます。日本人より割り切りというか、線引きがはっきりしていて、「私の仕事はここまでなので、この時間内でできる仕事の内容、方法を選択する」という考え方です。

「仕事は自分の生活の一部ではあるが、全部ではない」という考え方が一般的なので、長時間勤務を強いるような環境は生まれてこないのです。

以前に紹介した「僕たちはいつまでこんな働き方をするのか?」という木暮太一さんの著書に、『僕たちは「利益」のために限界まで働かされる』という章があります。

この章を読むと、僕たちが「なぜ?」残業や休日出勤をしてまで働かされているのかが、よくわかります。

「資本主義」という仕組みが、僕たちが壊れる寸前まで働くことによってうまく成り立つように出来ている、という理屈がよくわかるのです。

じゃあ、どうしてフィンランドでは、日本のようにならないのか?

「みんなが残業や休日出勤してまで働きたくないと思っているから」

これだけの理由だと思います。

政治的背景や歴史的背景、人種の違いなど、他にも理由はあるかもしれませんが、みんなが「こういう生活をしたい」と本気で願えば、実現しちゃうんだろうな、と思いました。

さらに驚かされたのは1カ月の夏休みです。

6月20日ごろの夏至からお休みモードになり、7月の1カ月間はどの職場もガラガラ。仕事相手も休みを取るので、この時期は働いても仕事はあまり進みません。国中がお休みモードになるのです。

何をするかというと、ほとんどの家族が「モッキ」と呼ばれるサウナのある別荘=サマーコテージに行き、湖で泳ぎ、森の中を散策してサウナに入り…と、家族でゆったりとした時間を過ごします。多くの家族がサマーコテージを所有しているのです。

サマーコテージというと、日本であれば軽井沢辺りの大きな別荘を想像するかもしれませんが、たいがいは小さな木造の素朴な森小屋です。電気、水道が引かれていない別荘も珍しくはありません。湖と森とサウナがあり、家族との時間を過ごせればそれで十分なのです。

基本的にフィンランド人の生活は質素というか、とてもシンプルです。日本人と比較すると食生活も消費行動も質素です。ですが、長い休暇を取り、ただゆったりと自然の中で過ごす時間を持っているのです。

僕は、こういった「余裕のある生活」が素晴らしいと思います。
僕のブログを読んでくださる方も、賛成してくれる方がきっと多いでしょう。

でも、こういう世界がなかなか実現しないのは、「もっと稼いで、もっと消費したい」と考えている人が多いからだと思います。

でも、そんな多数の考え方から抜け出すのは、案外簡単かもしれません。
思い切って抜け出してみたら、案外快適なのかもしれません。

それを僕が少しでも証明できたらいいな、と思います。


1年前の今頃、こんな記事を書いていました。
大事なことを書いてたな、と思ったので再掲してみました。

  
  

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