僕がまだ会社を辞める前に創作した文章を見つけたので、載せてみます。
前回からの続きです。
たいして好きな仕事ではなかったが、仕事をしていれば、
それなりに大変なことが毎日あって、
それをこなすことで忙しく時は過ぎていった。私の属していた部署は同年代が多かったので、空いているポストは少なく、
結局、定年まで課長止まりであったが、部下には慕われていたと思う。
ただ、押し出しは弱かったので、あまり尊敬はされていなかったかもしれない。何かを残せるタイプの仕事ではなかったが、良い製品を作って、
顧客に迷惑をかけないように仕事を進めてきた。
それが私の小さな誇りでもあった。■
(早く引退して楽になりたい)
40歳を過ぎた頃から、そんなことをよく考えるようになった。仕事でイヤなことがあると、
(あと少し、あと少しで引退だ)
と自分を奮い立たせてきた。そんな私だったので、定年後に働くことは全く考えていなかった。
妻も「40年も働いたんだから、もう休みなさいよ」と言ってくれた。
でも、管理職になるのが遅れた私の退職金は少なく、豊かな老後とは言えない状態だった。■
退職して、私の体は「楽」になった。
40年間通った工場に行かなくてもよくなった。
関連会社や顧客先に出張することもなくなった。
朝、いつまで寝ていても、起こされることもなくなった。しかし、私の精神は「楽」になったのだろうか。
朝起きて、妻と食事をして、新聞を読むと、何もすることがなくなっている。
昼食をどこかに食べに行くとか、
映画館の上映予定を見てみるとか、
旅行の計画を練ってみるとか、
楽しそうなことはたくさんある。しかし、老後の生活を考えると、年金以外に収入の無くなった私には
気軽に自由に使えるお金は少ない。結婚して子供が産まれてから、ずっと自由になるお金が無くて、
きゅうくつな思いをしていたような気がする。いつも楽しみにお金を使うことに躊躇する自分がいるのだ。
そんな生活がこれから死ぬまで続くのだろう。
今のこの生活は、私を「楽」にしているのだろうか?
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自分の定年後を想像して創作した文章は、ここで終わっています。
忙しくなって、途中で書くのをやめてしまったと記憶しています。
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僕がこの文章を書いた理由は、
「結局、自分が死ぬ時まで、ずっとお金や未来の心配をしている。そんな人生で良いのか?それで幸せなのか?」
ということを、42歳の自分に問いたかったからだと思います。
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「心を病んで会社を休んだけど、復帰して元気になった。会社員の仕事も悪くないな。」
「でも、このまま定年までいろんなことを我慢していく人生で、本当に良いのか?」
こんな想いをずっと抱え続けていたのです。
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この文章を書いた3年後に、このブログは始まりました。
最初の記事はコレです。「はじめまして」
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