後期高齢の親の車を売ってしまうまで

僕の両親は母80代、父90代で、歳のわりには大きな問題が無く、神奈川県の実家で2人で平和に暮らしている。

2人とも後期高齢者なので「元気」ではなく、「あっちが痛い、こっちが調子悪い」と毎日のように言っている状態だけど、車椅子や杖などの世話にならずにちゃんと歩けている。

母は、たまに「ん?」という発言をすることがあるけれど、大きくボケているわけではない。

父は、胃がんの手術をしたけれど、その後は順調。90代なのに頭脳明晰。固有名詞は忘れることが多いけれど、家族・親族の誕生日も覚えているし、おかしな発言もしていない。

父は運転免許を持っておらず、母が車を運転している。

僕の月1回の実家訪問は続いており、病院通いがあったり母の具合が悪い時には月3回くらい実家に行くこともある。

高齢者ドライバーの事故が多いので、母が80歳になった時に、「運転免許を返納してください」とお願いしてみた。

「そうねぇ…」とは言うのだが、なかなか決断ができないようだった。

母はほとんど車に乗らなくなっていたが、

・週に1回、趣味の集まりにご近所さんを数人乗せて会場に行く

・家から少し離れたスーパーに行くときは車を使っている

・定期的に通っている病院に行くにも車を使う

という事情があった。

父も「母は運転がしっかりしているし、車が無くなるのはなぁ…」という感じだった。

運転免許証が身分証明書になるので、免許の返納もあまりしたくない気持ちもあるようだった。

なので、僕が付き添って両親のマイナンバーカード申請をした。

これまでの数年、もう運転はやめて公共交通機関やタクシーを利用するように勧めてきた。

タクシー会社を数社調べ、情報を印刷して実家の電話の前に貼ってみたり、実際にタクシーを呼んで乗ってみたりもしてみたのだが、しばらくするとすっかりタクシーを使わなくなってしまう。

少しの距離なのに家に車を呼びつけることに、とても抵抗があるようだった。

先日、母の検査があったので、実家に行き、僕の車で病院に送って付き添った。

病院から帰ってきて、夕食の時に高齢者ドライバーの事故の話になった。

覚えている人も多いと思う。6月4日に84歳の高齢者が信号無視で小学生をはねてしまった事故があった。

報道番組では、その老人が手錠につながれ現場検証をしている映像が流れた。ただの善良なオジイさんに見えた。

「母があんなことになったら、オレは耐えられないよ」「この歳で刑務所行きなんてイヤだよね」と母に伝えた。

すると母が「そうだね。心配はかけたくないからクルマを手放すかね」と言ってくれた。

それを聞いて、僕はすぐに行動を開始した。

免許返納は後でもよい。他の人の車を母が運転するとは思えないので。

車を売るために中古者見積り一括サイトに登録をした。

すると一気に8社から僕の携帯に電話が殺到した。(こんなにスゴイとは思わなかった)

その中から3社を選び、見積もりをしてもらって、次の日には考えていた価格より高く母の車を売ることができた。

夕方に車を引き取りに来た業者を、両親と僕の3人で見送った。

母は少し淋しそうだった。

「車の維持費は1年で20万円くらいかかっていたから、これからは1年で20万円分タクシーを使って良いんだよ」と両親に話すと、「おー、じゃあ、たくさん呼ぶことにするよー(笑)」と言ってはくれたけど…

どうなるのかな?

少し心配なことは、外出することが少なくなってボケが進んでしまったりしないかな?ということや、バスなどでトラブルに巻き込まれないかな?など、いろいろある。

でも、車を手放したことで、「母が加害者になる可能性がなくなる」ことに大きな安心を感じる。

これで良かったのだ。きっと。

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