心が異常に疲れる場所で生き延びるには

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体を使う「肉体労働」、頭を働かせる「頭脳労働」に続く第3の労働形態が感情を商品として提供する「感情労働」だ。一番の価値である「感情」を守りながら働くにはどうしたらいいのか。

 
東洋経済オンラインの記事です。
「感情労働」という言葉を初めて聞きました。

「感情労働」の現場を生き延びる

感情労働とは「会社などから管理・指導され、自分の感情を加工することによって相手の感情に働きかける職務」。簡単に言えば、本来の感情を押し殺して業務を遂行することを求められる仕事だ。

その代表的な職種は「看護師」や「客室乗務員(CA)」と言われるが、いまやあらゆる職種に「コミュニケーション能力」が求められ、冒頭のようにITエンジニア職でさえ「顧客満足」が徹底される。

最近はどの職場にも感情に絡む悩みが増え、社会全体が感情労働的になってきた。この現象を「感情労働シンドローム」と名付けたエッセイストの岸本裕紀子さんはその背景として、正規・非正規の社員の格差、ブラック企業、成果主義の導入などでメンタルヘルスの問題が深刻化していることを指摘する。

「職場に余裕がなくなり、同僚にも弱みを見せられなくなった。自分の感情をコントロールしながら仕事をするという意味では、社内も外の顧客へも変わらない。しかも、接遇マニュアルなどがない社内のほうが、より疲弊しやすくなっています」

 
「感情労働」の定義がわかったようでよくわからないのですが、「感情労働」が、気を遣い感情をコントロールしてコミュニケーションを行うことを伴う労働、と考えるならば、ほとんど全ての労働は「感情労働」のような気がします。

僕はIT部門にいるシステム屋ですが、システムを作るだけではなく、顧客(=ユーザー)を満足させなければいけないし、感情を抑えて耐えなければならないことも多々あります。

例を挙げます。

システムを改善して、最初は慣れないかも知れないけれど、ゆくゆくは便利になる点、最終的には楽になる点、などを短時間で説明しなければならない場面がよくあります。
改善点の説明をしていると、「今さら変えるなよ」「昔から苦労して作りあげてきたやり方を捨てるのかよ」なんてことを年寄り(=老害)から言われることがあります。

(お前らなんかのために改善したんじゃないよ、これから活躍する人たちの時間をムダにしないために作ったんだよ)と心の中では思いますが、それを言葉にして言うわけにはいきません。そういうアホな意見に同調したフリをしながらも、様々な立場の人に、気を遣いつつ、感情を制御しつつ、いかに波風立たずにうまく伝えていくか、を考えなければならないことが多々あるのです。

僕は仕方なく上記のような仕事をしていますが、そういう仕事は苦手だし、タマにうまくやれたとしても達成感を感じるよりも後味が悪い思いをすることが多いです。

(自分に向いてなくて、自分が喜ばない仕事がどんどん増えていくな・・)と感じています。

記事中には、

「自分の感情を隠さない」
「自分の感情を乱さない」
「自分の感情を正直に認めたうえで、相手に合わせる」

などの対処法が挙げられていますが、

感情の制御が仕事の大部分を占めるならば、または、感情の制御を売る商売が仕事ならばそんな仕事はもうやりたくありません。

今 僕が属している組織に、こういった類の仕事がどんどん増えてくることを避けられないのであれば、僕はその場所から去るしかない、と考えます。

   
 

コメント

  1. じゅんぺー より:

    例が分かりすぎです~。
    顧客が自分達の仕事をどうやってシステム化したら良いか分からないので、色々提案しても、結局は紙の帳票と同じフォーマットで入力画面を作って欲しいとか言うんですよ。こうやった方が後々便利ですよというのをなかなか理解してもらえなくてがっかりするんです。よかれと思ってやっているのですけどねえ。
    感情労働ですか。そのストレスに対して給料が支払われるということですね。

    • 正吉 より:

      じゅんぺーさん、コメントありがとうございます。
      僕の場合はユーザーが社内の人になるので、あまりに理不尽なことは言われないのですけど、「そこまで気を遣わないとダメなの?」と思うことが多いです。気遣いも給料のうち、って言われればそれまでですが、気遣い=給料みたいになると、もうダメです・・。

  2. prire より:

    > 感情の制御を売る商売が仕事ならば、そんな仕事はもうやりたくありません

    結構過酷な環境で働かれているんですね。思わず風俗嬢を連想してしまいました。
    そう感じるのであればまずは慣れるしかなく、慣れられないなら去るのが最高の選択肢ですよね。そうでなければ自分が壊れてしまいます。

    • 正吉 より:

      prireさん、コメントありがとうございます。
      皆が皆、苦しんでいるわけではないようなので、過酷と思ってしまっているのは僕のせいなのかもしれません。
      でも、壊れそうなのは事実なので、壊れる前に何とかしようと思います。

  3. 感情労働という言葉は始めて聞きました
    社会がそれだけ精緻になってきているように感じました

    • 正吉 より:

      消費しないピノキオさん
      僕もこの記事を見るまで知りませんでした。
      学校の先生を見ていると感情労働じゃないかなぁって思います。生徒にも生徒の親にもすごく気を遣ってくれていて、恐縮しちゃいます。もう少しエラそうにしてくれていいですよ、って言ってあげたくなっちゃいます。

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